生産技術 - プロセス改善事例①

プロセス改善事例「光学異性体のラセミ化法検討による製品収率向上」

課題

医薬品中間体の開発では、効果的な薬理活性を得るために単一の光学異性体を合成する手法の確立が求められています。当社でもラセミ体Aを光学活性剤と反応させジアステレオマーの塩とし、二種の塩の溶解度差を利用して高純度の目的物B(光学活性体)を単離していました。しかしながら合成の過程で不要な光学異性体Cが半量生成するため全体の収率は40%と低収率となっていました。

図1.従来製造法概略

図1.従来製造法概略

課題解決に向けて~仮説形成~

収率を改善すべく廃棄していた光学異性体Cをラセミ化することで原料としての再利用を試みました。その際、以下の仮説を組み立てラセミ化を検証しました。

(仮説)

光学活性体のα炭素原子からプロトンを引き抜き、不安定な金属中間体の状態を生み出せばラセミ化が起こるのではないか?

図2.ラセミ化反応機構

図2.ラセミ化反応機構

課題解決に向けて~ラボ実証~

種々検討の結果、化合物Cにアルカリ金属塩を作用させα炭素からプロトンを引き抜くことでラセミ化が起こることが実証できました。この結果から以下の収率改善プロセスが確立されました。

図3.収率改善プロセス概略

図3.収率改善プロセス概略

しかしながらパイロット試作を実施した際に新たな問題が発生しました。

パイロット試作での問題と、その対応

パイロット試作では、ラセミ化反応が遅く反応不良が起こりました。原因を調査し、2日後には系中のアルコールがラセミ化反応を阻害すると究明しました。

図4.反応不良 プロセス概略

図4.反応不良 プロセス概略

図5.ラセミ化反応状況

図5.ラセミ化反応状況

最後に

当事業部では、化学的論法による仮定・検討・実証と現象に真摯に向き合うことで製品収率の向上や、経済的な製造方法の検討を日々行い、環境負荷低減にも取り組んでおります。
また実機製造でトラブルが起こった際には、迅速に原因調査・対策を行うことで、トラブルの解消にも最善の努力を行います。

単なる『モノづくり』にとどまらず現行の結果に満足せずに、常に品質・収率の向上を目指しております。

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